新春対談 | 2011 社団法人 糸魚川青年会議所 ~道~

 新年を迎えて、糸魚川市長 米田 徹氏と(社)糸魚川青年会議所理事長 藤巻道隆氏がこれからの糸魚川市について語りました。


新春市長対談1.jpg  藤巻道隆 糸魚川JC理事長米田 徹市長(以下市長) 明けましておめでとうございます。昨年は、今までの取り組みの成果が具体的に見え始めた年でした。ジオパーク(※1)で地域振興を図り、市民への説明や全国への普及を進めてきましたが、糸魚川青年会議所の南蛮エビや糸魚川うまいもん会のブラック焼きそば(※2)、小滝地区の山菜で特産を作る取り組みなど、市民のチームプレーが見られたことが、私としては大きな一歩だと感じています。今までは計画段階で苦労していましたが、一歩踏み込み、手ごたえを感じることができました。ジオパークを切り口としてスタートした市の取り組みから大きな目標に向かって、市民も大きく変化した年だと思っております。

藤巻道隆理事長(以下理事長) 2010年度、糸魚川ジオパークの世界ジオパーク(※3)認定を受け、「奴奈川青年会議所」から「糸魚川青年会議所」へ名称変更しスタートいたしました。活動として、まず交流人口拡大という大きな目標の下、糸魚川の数ある資源から「南蛮エビ」を一つの大きな魅力として県内外に発信したことで、「糸魚川」という名前と「糸魚川=南蛮エビ」を広くPRでき、興味・関心を示してもらえるようになったと実感しています。もう一つはUターン人口の拡大です。地元の高校生にも携わってもらい、この地で輝く人々にスポットを当てたDVDを製作しました。番組制作を通して地元の良さや魅力に関心を持ってもらいたいと考えたからです。これにより望郷の起爆装置を植えつけることができたと思います。

市長 昨今は世界同時不況ですが、だからこそしっかりと行政運営を進めなくてはいけません。中でも子育て環境の取り組みでは「子ども一貫教育方針」を立て、基本計画を作り始めています。どこへ行っても自分のふるさとは良かったと感じられる環境をつくりたいのです。市の重点施策の一つに「日本一の子どもづくり」というものがあります。ここで言う「日本一の子ども」とは、糸魚川において日本一という気持ちで取り組むということです。バランスの良い糸魚川らしい子どもたち、しっかりと信念をもって生きていける子どもを育てたい。それがまちの活力になるのです。しかしこれらは、継続が必要です。一見地味に見えますが、継続して初めて出来上がるのです。そしてその際に、すぐに対応できる人材育成も必要です。ハードだけでは一時的で、時代の流れによって消えてしまいます。普遍的なものはと考えると、やはり「人の力」なのです。それをしっかりと作ることも教育だと考えます。

理事長 私もJCの活動を通して「人の力」の大きさを実感しました。人がそこに真剣に取り組む姿があり、周囲が惹きつけられて共感することで、行動に繋がるのです。また、我々も今年度は「まちづくりは人づくりから」を基本理念として子どもたちの豊かな心を育んでいきたいと考えています。今は自分の幼少の頃と比較すると、外で群れになって子どもたちが遊ぶ場面が少ないように感じます。しかし遊びによって学ぶコミュニケーション力は非常に大切です。私たちはそれらをより多く選択できる環境を提供するためのお手伝いをしたいのです。また、子どもたちは周囲の大人の影響を強く受けます。やはり、子どもは親の背中を見て育つものです。そこで、大人が子どもに与える影響に気付き、己を律する心を意識付けしたい。それにはいかに危機感を持たせ、自分事として捉えるかが重要です。私は「かっこいい大人」というものを提唱しています。己を律する心を持ち、それを行動や言動で子どもたちに示していける大人のことです。そして「かっこいい大人」を見た子どもたちが将来、お父さん、お母さんのように、あの人のようになりたい、糸魚川で生まれ育ってよかったと感じる環境にすることが将来、糸魚川を担ってくれるであろう子どもたちの豊かな人間性を育むことに繋がっていくと信じております。

市長 私も賛成です。というのは、親の背中を見て子どもは育つのであれば、逆も考えられると思います。大人がやる気を起こすには、子どもに見られることが一番なのです。しかし、現状は難しい。まずは子どもが親の背中を見られる環境づくりが必要です。企業が子どもたちを受け入れて、サラリーマンの方でも背中を見せられるプログラムも良いと思います。子どもに見られればしっかりしなければと感じますしね。ぜひ、そんな考えも織り交ぜて企画していただきたいです。

理事長 ぜひそういった機会を設け、自分の働いている姿や仕事に誇りを持って、それを子どもたちに伝えて欲しいなと思います。


新春市長対談2.jpg    米田徹 糸魚川市長市長 糸魚川市民の個々の力は非常に強いものです。しかし地域の連携にもその力を使ってもらおうとするならば、呼びかけ方が大切です。動かそうとするものが大きければ一つも二つも工夫しないと応えてはもらえません。また、他県での成功が糸魚川でも当てはまるかといえばそうでもない。それぞれがバラエティーに富んでいて文化であるからなかなか混ざり合わないのです。しかし、それを一つに束ねることができたら非常に強い魅力になります。今、市民の考えに方向性が見えてきましたが、それだけでは意味がなく、行動しなければなりません。行動すれば問題も課題も見えてきます。行政は特にそうですが間違いや失敗をしないようにと、まずダメなところを探します。しかし、それでは良いものは出来ず、前にも進みません。

理事長 失敗は成功のもとですね。

市長 まさにその通り。失敗がなければ成功もなく、地域づくりや地域おこしはやってみなくてはわからないのです。行動すれば失敗もありますが、1%でも0.5%でも可能性があればやってみる価値はあります。

理事長 今は地域のコミュニティよりも個人の時間や価値観が優先される時代であり、非常に難しいテーマですが、そこが我々に求められている一つでもあると思います。若い柔軟な発想で投げかけ、関心を持ってもらうのです。昨年、我々にもフレッシュな会員が30名ほど増え、さらに新しい発想ができるようになりました。若者・ばか者・よそ者の力が必要だということも言われますが、それが可能なのが私たちだと自負しております。また、今はさまざまな情報ツールがありますが、これまでの活動を通して自ら宣伝広告塔になって各地で発信することが、地道ですが一番大事だと感じています。情熱を持って伝えれば連鎖反応が起きるのです。我々のもう一つのテーマとして「糸魚川ファン」を増やすというものがあります。一人ひとりが自分の出来ることから参加して「糸魚川大好きだ」という気持ちを持ってもらう。今度新幹線が開通した際に、若い世代から糸魚川が好きだという気持ちがあふれ出ているまちであれば、また来ようと感じてもらえるのです。

市長 さまざまな伝達方法が出回る今、一番シンプルに心を打つものはやはり人です。情熱・愛情を持って接すれば必ず相手にも響きます。知識だけでなく、糸魚川への愛情が根付くことが大切です。お茶を出し、自分たちの言葉で「どっからきたんね」と飾らないもてなしの中で人間性が受け入れられる。一つ一つでも確実に、それが一番の財産になるのです。ジオパークマスター(※4)を作ったのはそこで、まちの色を出したかった。全ての知識は必要なく、そこにいる人たちが自分の地域について愛情を持って語れることが一番です。また、そうすることでふるさとに愛着も持ってもらえると考えています。住んでいると、当たり前になり良さがわからない、魅力に感じない。でもそうではない。市民の感じるマイナスな部分を、魅力として生かせないか、今検討しています。

理事長 この時期の日本海の荒波は我々からすると何となく暗いイメージですが、それを求めて荒れた日本海を目当てに来られる方もいると聞きます。見方を変えれば、魅力として打ち出せるのですね。市長 ただ「ダメ」ではなく、それをどう対処するかが大切です。今後は選択と集中がさらに問われる大変な時代になっていくと思われます。無論、行政もしっかりと取り組みますが、皆様とも連携をとり、青年会議所と共にどのように動くかが大きな鍵だと思います。ぜひ、ご意見をお聞かせいただき、連携・チームプレーを行っていきたいと思っております。

理事長 まず、世界に誇る糸魚川の魅力を市民が誇りに思う心を持ち、そして糸魚川を愛する人が一人でも増えることを真剣に願っておりますし、またそうなる取り組みを行っていきます。糸魚川はどこにも負けないという気合いを皆様と共に持ち、この糸魚川の活性化に力を注いでいきたいと考えます。世界に輝く糸魚川を目指して、一緒に頑張りましょう。

市長 行政というのは住民の皆様がいて初めて成り立ちます。楽しみ、喜んでもらうことが幸せに繋がると考え、これからも取り組んでいきます。他国に比べて日本は高学歴社会です。「知る喜び」という言葉もありますが、自分たちの立つこの地のことを知ってもらいたい。今は非常に地質や自然が研究されていますので、そういった新しい情報も含め、より愛情を持って情報発信していただき、一つ大きなスクラムを組んでこの厳しい時代を乗り越えていきましょう。

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※ 1 ジオパーク…大地(ジオ)の公園(パーク)のことで、貴重な地質資源やそこに関連する動植物、歴史、文化などを教育や地域振興に繋げていく取り組みのこと。糸魚川ジオパークは市全域がジオパークであり、24のジオサイト(見どころ)がある。平成21年8月に世界ジオパークに認定された。

※ 2 ブラック焼きそば…糸魚川B級グルメとして糸魚川うまいもん会が創作し、市内の飲食店で提供されている。イカ墨を使用した焼きそばで、各店舗ごとに異なった味付けとなっている。

※ 3 世界ジオパーク…ユネスコ(国連教育科学文化機関)の支援で平成16年に始まった新たな取り組み。現在、25カ国77地域が認定されており、日本でも糸魚川の他、洞爺湖有珠山(北海道)、島原半島(長崎県)、山陰海岸(京都府、兵庫県、鳥取県)が認定されている。

※ 4 ジオパークマスター…糸魚川ジオパークの魅力を紹介するため、市内外からのお客様が多い飲食店や宿泊施設、理容店等の従業員を対象に講座を行い、受講した方々を「ジオパークマスター」として認定する制度。

構成協力:(株)アド・クリーク