3月例会 災害ネットワーク構築に向けて~メンバーの意識を高めよう!
平成30年3月7日(水)に、3月例会『災害ネットワーク構築に向けて~メンバーの意識を高めよう!』が開催されました。
「災害」……糸魚川市でこのワードが意味する事は、明らかかと思います。一昨年12月末に起きた糸魚川大火。現在、糸魚川は前向きにPROGRESS(前進)しておりますが、倉又理事長は、より良い復興のためには災害時のネットワーク構築は欠かすことのできない要素であると考えております。
池原 公人 氏(糸魚川JCシニアメンバー、現糸魚川方面隊第二分団分団長)
野村 祐太 氏(糸魚川復興街作り情報センター、中越防災安全推進機構)
のお二方をお招きし、災害発生時にどのような事が起き、何が必要となるのかを学びました。
まず、担当の災害ネットワーク構築委員会委員長橋本保宏が、趣旨説明を行いました。
「災害に対し、安心して暮らせる街になるため」に重要な、災害時における「三助」の概念
「自助」……命を守る活動(自衛団・消防職員等)
「共助」……くらしを助ける活動(ボランティア団体・NPO)
「公助」……中長期的な暮らしを再建する活動(主として行政)
を理解し、災害後の被害に対し、糸魚川JCとしてどのように対応すればよいか。それらについてメンバーの意識を高める事が、本例会の目的となります。
続いて、災害ネットワーク構築委員会の市川副委員長から、青年会議所の災害時における救援相互運営規程について説明を行いました。
青年会議所基本資料にある「災害時における救援相互運営規程」は災害発生時に運用されます。事前調査では、残念な事に7割のメンバーがそういった規定がある事を知らなかったという事ですが、新潟県災害ボランティア本部と連携し、県内22LOM(青年会議所)の相互支援円滑化を目的としている規定です。
毎年第1回理事長会議で話し合われ、毎年更新されています。
過去の事例では中越地震、中越沖地震の際に、県内JCが被災地域でたき出し等の救援活動に協力しています。
こういった規定がある中で、実際被災したとき(他の地域を含め)にどうするか、地域の一員として何が出来るのかを、講師から学んで欲しいと結びました。
糸魚川JCシニアメンバーであり、現糸魚川方面隊第二分団分団長を勤められている池原公人氏。糸魚川JC2008年には総務委員長を務め、災害危機管理マニュアルの作成に携わりました。
糸魚川大火の際も現場で指揮を取られました。火災現場で何が起きていたのか、そこにいた人間はどのように感じ、何を必要としたのか。とても生々しい話の冒頭、糸魚川大火の現場を「地獄」と語られました。
燃え上がる火の勢いは、強風で留まるところを知らず。可能な限りの放水を試みようにも水が足りず、手の出しようもない。熱で焼き切れた電線の危険など、活動そのものが危険を伴う中、被害は広がっていく…現場で物が焼ける臭いは非常に強烈なもので、当時の様子が鮮明に思い浮かぶような語り口でした。
現場での対応は「自助」に当たる活動です。まず自身の安全確保が原則であり、消防団員の二次災害は避けなければなりません。
そういった中で被災した際、適切な「自助」活動を行うため、災害管理マニュアルを作成した当時のお話もされました。時代と共に、マニュアルは検証・修正を加えていくものであり、自分が作ったマニュアルを叩き台に、定期的に見直す必要性を話されました。
現糸魚川復興街づくり情報センター所長を勤められている野村祐太氏です。糸魚川大火においては、チーム中越(中越防災安全推進機構)の一員として来市。糸魚川市地域たすけあいボランティアセンターの運営において、設営から中心となってボランティア活動の中核を担いました。現在も糸魚川市復興まちづくり情報センター所長として、復興まちづくり計画を様々な形でサポートされております。
被災直後、もっとも多い悩みは「何をどうして良いか分からない」だったそうです。しかし、市外の人間である野村氏は、自分が悩み相談を受けても被災者方はなかなか言いづらいだろうと考えていました。
行政をはじめ、各団体とは早い段階で連携を取ることが出来た事から、糸魚川JCで今年度専務を勤める小出薫弁護士と弁護士相談所を設置。法律関係や復興へ利用できる制度の紹介など、被災者が落ち込み続けることが無いように計らいました。
なかなか相談所へ行く事が出来ない人ややはり直接会ったほうが話しやすいだろうと、市役所職員や各地区役員に訪問相談をお願いし、被災者方の様々な悩み・必要なこと・やって欲しいことなど情報収集を行いました。
その時点でも、全国からも様々な支援・協力の申し出がありました。しかし、必要としている労力を適切に運用しなければ、ボランティアの方や被災者に不要な負担をかけることになってしまいます。そのため、地域の人間が主体となってまず情報収集を行う必要がありました。
そういった活動から、「思い出の品プロジェクト」が年末に始動します。被災して燃えてしまった跡地から、指輪や遺品など大切な品物を探したいという想いが、相談で寄せられました。
「一人ひとりが納得するまで、時間がかかってもやって欲しい」。
建設業協会からの協力も得て、行政・建設業協会・ボランティアセンターが連携し、被災者方一人ひとりの指示で、危険の残る被災地で作業を進めることが出来ました。
釘や井戸など危険を慎重に避けながらの作業は、非常に忍耐が必要でした。幸運にもメディアに思い出の品が発見された瞬間を放送された事で、被災者から「うちの物も探してもらえるか?」という依頼が増え、また協力を申し出るボランティアも増えたそうです。
最終的に98%の依頼者がなんらかの品物を見つけることが出来ました。
地域の人間の協力も大変なもので、地元中学生が一番最初にボランティア活動を申し出に市民会館に足を運んだそうです。「部の仲間が被災したから、力になりたい」。
ボランティアセンターに訪れた人が迷わないよう、敷地内のレイアウトを作成してもらう事が、一番最初のボランティア活動になりました。
JCメンバーも各地からボランティアのために訪れた人へのオリエンテーションを担当するなど、地域の人間が中心に活動する事はとても重要です。
皆が前向きでも、現場でのすれ違い・方針の違いは生まれてしまいます。思い出の品プロジェクト中にたばこを吸っていた、どこに何人ボランティアをお願いするのか?等、気を配ることは多く、トラブルが起きたときに自分のような市外の人間より、地域の人間のほうがコミュニケーションをとって、方針を示すことが出来ると話されました。
新潟県は災害が多く、数ヶ月に一度勉強会も開催されています。またシミュレーション訓練なども行われており、災害時にやみくもにつながらず、適切な行動を取れるよう日頃から意識して訓練する事が必要だと、野村氏はまとめられました。
最後に、災害ネットワーク構築委員会の橋本委員長がまとめを発表しました。
災害への意識を日頃から高め、糸魚川JCが災害発生後に何が出来るかを考える。
「全国ネットワークを持っている」
「日頃から糸魚川のために深く根ざし活動している」
「異業種の集まりである」
これらの強みが糸魚川JCにはあります。
行政対応が行き届きにくくなる場合、誰が地域を守れるのか? それは私たち一人ひとりです。
平時から自分・家族・近所と出来る備えが大切。
自助・共助、どちらにも協力出来るのがJCである事を認識して、災害への意識を日頃から高めていきましょう。