副理事長兼定住促進室室長
いそかわ  じゅんいち 
五十川 淳一

 
 
近年、情報流通が加速的に発達したことによって、自分の考えや表現を発信し共感を得ることが即時可能になりました。そして、誰もが簡単に必要な情報を探せるようになった反面、答えとなる確かな情報へ辿り着くことが困難になっている側面も感じます。日々増殖し続ける膨大な量の情報は、私たちの生き方までも翻弄する脅威の一面を持っているように思えます。
その一方で、社会の流れは多様性に富んだ価値観が尊重される方向に気運が高まり、個人を認める時代へと移り変わっています。たとえマイノリティな価値観であったとしても淘汰されることなく、承認される傾向に転じていると感じます。これは多くの人が持つ「足並みを揃えることが美徳」という価値観に縛られず、「自分の満足を追求する」ことを基準に行動する人が増えているからではないでしょうか。そして、暮らしにおける価値観にまで変化が生じているように思います。
現状、首都圏などの人口の多い都市部では、コロナ禍の影響でテレワークの普及が急伸し、それが引き金となって、やりがいや手応えを感じられる仕事に重点を置いた自分らしい暮らしを求め、地方へ移住を希望する人が増加傾向にあります。この背景には、地方移住に対して「田舎で暮らしてみたい」という単に憧れが先行した価値観に留まらず、「都会とは違う働き方ができる暮らしをしたい」というワークライフバランスを含んだ価値観へ変化していると考えられます。
このことから、移住先に求められるニーズも多様化しており、国や各地方自治体は移住者を受け入れるべく、支援制度を整えてきています。加えて、移住希望者に向けて地域の魅力と併せて情報発信し、定住を目的とした移住の誘致活動が全国的に行われています。
糸魚川にとっても定住を促進する絶好の機会ではないでしょうか。糸魚川は数多くの魅力を持ち、県内地域の中でも住みよさの指標においては高評価をいただいておりますが、糸魚川の暮らしを発信する分野では、とりわけ効果的な認知度向上に結びついていないように感じます。膨大な量が飛び交う全国の地域情報の中でも、埋もれずに糸魚川の「暮らしの魅力」を移住希望者へ届けることが必要であると考えます。一人でも多くの人に糸魚川の暮らしに共感できる機会を創出することが、糸魚川の移住促進の一歩になると確信し、活動を展開していく所存です。
本年度、木島理事長が掲げるスローガン「KEEP GROWING」のもと、糸魚川が活気ある豊かなまちへと成長していくために、将来の定住人口拡大を見据え、まずは糸魚川への移住の促進につながるよう、首都圏を含めた都市部に住む移住希望者に向けて情報を効果的に発信し、糸魚川の認知度向上に励んでまいります。
一年間どうぞよろしくお願いいたします。