2024年度 理事長
まつき  みさこ 
松木 美沙子

 

 

理事長所信

【はじめに】

 糸魚川青年会議所(以下、糸魚川JC)は、1967年10月23日に362番目のLOMとして設立されました。今日に至るまで、「明るい豊かな社会の実現」というJCの理念を掲げ、「個人の修練・社会への奉仕・世界との友情」の三信条のもと、先輩諸氏が地域の成長と発展を願い、不退転の覚悟と熱い想いと行動力で、これまで多くのまちづくり事業やひとづくり事業を展開してきました。先輩諸氏の努力と想いが形となり、今に残っていること、そして糸魚川JCが活動を継続できていることに、心から敬意を表するとともに深く感謝申し上げます。
 この組織のメンバーである私たちは、糸魚川JCの設立趣意書に込められた先輩諸氏の想いと伝統を承継するだけでなく、未来につなげるためにも、組織としての歩みを止めてはなりません。そのためには、日々刻々と変化する社会情勢の時流を読みながら地域社会を先導するために成長し続ける必要があります。私たちが行う運動の道標とすべきものは、「明るい豊かな社会の実現」という不変の理念と、それぞれの地域が抱える「地域課題の解決」という公益のための中長期的なベクトルを意識した運動を展開することだと考えます。この理念とベクトルを持った上で、私たち糸魚川JCは、この地域の青年経済人の集まりとして、地域社会が抱える問題と向き合い、解決するためには「JCとは何か」「何のために」「なぜやるのか」というJCの本質を常に念頭に置き、地域課題を調査・分析し、より良いビジョンを目指し、具体的な行動に移すことが求められています。
 本年度、【Well-Being】のスローガンのもと、不変の理念を掲げつつ地域課題の解決を図り、地域に求められる組織として在り続けるために、組織としての内省・内観を行った上で、組織としてより良くなることと、メンバー一人ひとりが地域社会の新しい価値を創造し、自ら学び成長し続けることを目指してまいります。
 そして、私自身、この激動の時代に青年経済人としてまちづくりに携わることの意義とまちづくりの本質を見つめ、明るい豊かな社会の実現を願い、想いと行動力の伴った人財へと成長するために、直向きにJC活動に邁進してまいります。
 

【メンバー一人ひとりの資質向上を目指して

 明るい豊かな社会を築くための活動をより良くするためには、メンバー一人ひとりの成長と組織としての成長が必要不可欠です。
 単年度制かつ40歳で卒業というJCならではのルールの下、メンバーは毎年異なった役職や役割・出向などの様々な経験を通じ、地域や組織の課題に向き合い、議論を重ね、事業や各種会議の企画・準備・設営から運営までを実践します。そして、その過程と内省・内観を通じて、様々な知識やスキルを得つつ、他者の物事の捉え方や考え方などを知り、これを繰り返すことが修練や自己研鑽になります。この修練や自己研鑽を繰り返し、メンバー同士の切磋琢磨によって、多くの学びや気づきを得ることが成長となります。このように、JCには、日々の活動を通じて成長できる機会が多くあります。しかし、JCという組織は、成長の機会を与えてくれるものであり、成長を約束しているわけではありません。様々な活動に前向きに参加・参画し、時代を切り拓く実践者として当事者意識を持って挑戦をすることが自身の成長への機会であると捉え、内省・内観をしながら行動に活かしていくことが必要不可欠です。
また、組織の成長と発展につなげるには、一人ひとりがJAYCEEとして、JCという組織の理念を深く理解する必要があります。組織の理念を深く理解すると、メンバー一人ひとりが、目的や目標の達成を追求することの意義を理解することにつながります。ここ最近の糸魚川JCは、事業構築や事業計画のための議論をしているうちに、当初の目的・目標がどこかに消え、手段・手法が目的・目標にすり替わってしまっていることが多々あります。このことは、まちづくり団体として、非常に憂慮すべき事態だと考えます。私たち糸魚川JCは、このまちの明るい豊かな社会を築くために必要で効果的だと考えられた例会・事業を展開する組織のはずです。私たちは、まちのため・人のために貢献できる人財になることが求められていることを、今一度メンバー全員で再認識する必要があります。
 同時に、異業種の様々な立場や環境に身を置くメンバーが所属しているJCには、多様な価値観が溢れており、自分とは違う価値観に悩まされる場面も少なくありません。このような状況においても、周りとの対話を重ね、調和を図りながら、より良い方向を導き出そうとすることが重要です。自分の価値観だけに捉われず、他者に対する敬意と感謝を持ち、長所は積極的に取り入れ、常に自分の価値観をアップデートする柔軟さは、資質向上につながり、日々の生活やビジネスにも活用できるはずです。
 そこで本年度は、JAYCEEとしても青年経済人としても、より良いまちを創造する人財へと成長することを目指します。このことは、JC内だけでなく、メンバー一人ひとりが家庭や会社・地域や社会をより良く先導する存在になっていくと考えます。糸魚川JCで得た学びや成長を活かし、私たちは希望溢れる未来に向かって、明るい豊かな社会を常に想像し、持続可能な地域を創造してまいります。  

 

 

【組織としての想いの承継と伝播を】

 会員拡大は、単年度制を謳うJCにおいて、一度も欠けることなく継続されている事業であり、JC運動の一丁目一番地であると言われています。これは40歳での卒業というルールがある中で、先輩諸氏から脈々と続いてきた想いと伝統というバトンを受け継ぎ、さらに持続可能な組織として次の時代を担う世代にバトンを渡していかねばならないことが理由です。
 しかしながら、メンバー数の減少と在籍期間の短期化は、糸魚川JCだけでなく全国各地のLOMにおいても切実な課題となっています。「JCがある」と言われていた時代から、「JCもある」と言われる時代になりました。JC以外のまちづくり団体として有志による団体が数多く誕生したことは、地域社会にとっては非常にプラスの要素だと考えます。しかし、JC特有の単年度制かつ40歳での卒業というルールがあり、若い時期の限られた時間の中で、一期一会の出会いと様々な役職と経験を積み、このまちの未来に貢献する人財へと成長できる学び舎は、JCが唯一無二の存在ではないでしょうか。また、この機能を果たすためには、メンバー同士がお互いの成長を支え合える関係を築く組織であることを認識し、メンバーが一丸となってJC活動に邁進することと、会員拡大を行い続けることが必要です。会員拡大を継続して行わなければ、組織の発展はおろか、メンバー一人ひとりの自己成長の機会が限られてしまうことは想像に難くありません。
 そこで本年度は、私たちが、数あるまちづくり団体の中からなぜ糸魚川JCを選び、何のために運動を展開しているかという想いとJCの理念を会員候補者にしっかり伝え、この糸魚川の明るい豊かな社会を目指す実践者としての当事者意識を持つ新しい同志を一人でも多く迎え入れ、会員拡大を通じて、組織としての想いや理念の承継と伝播を目指します。また、持続可能な組織となるためには、多くの青年経済人を迎え入れるだけでなく、同じ想いを持つJAYCEEとなるために、活動の中での学びと実践の場、そして成長の機会を提供することが重要です。糸魚川JCには、先輩諸氏からの想いと伝統に、敬意と感謝を伝える大きな機会があります。本年度の活動方針の発表を行う新年祝賀会、本年度の上半期の活動報告と次年度の組織体制の発表を行う納涼会、そして卒業メンバーの新たな門出を祝う卒業例会という、想いの承継と伝播のための事業を挙行することです。糸魚川JCにとって、この大切な機会を、メンバーと組織の成長の機会であると捉え、未来の自分自身の姿と重ね、参加していただく方を想像した企画・準備・設営・運営を通して、青年経済人として在るべき姿勢と接遇を学び、実践してまいります。
 また、私たち糸魚川JCという組織としての魅力や日々の活動内容を正しく伝え、情報発信することも、組織としての想いの承継と伝播につながると考えます。私たちは、JCの理念や魅力を自身の言葉で語り、伝えることができているでしょうか。糸魚川JCの活動内容や魅力を十分に発信し、共感していただけるような情報発信ができているでしょうか。“JC”や“青年会議所”という名称は聞いたことがあっても、組織の理念や実際の活動を知っている方は、JC関係者を除けば、少ないだろうと私は感じています。想いの承継と伝播という目的を持った広報は、例会・事業や会議の様子をただ一方的に発信するだけでは不十分だと考えます。私たちが発信した情報が、会員候補者の方に届けば「私も入会してみたい」、経営者の方に届けば「社員を入会させたい」と思っていただけるよう、一人でも多くの方に共感を得られるように、理念や糸魚川JCの活動内容、そして魅力の周知を図る効果的な広報活動にも取り組んでまいります。
 

【糸魚川の未来が明るい豊かな社会であるために】

 近年の新型コロナウイルス感染症という世界規模のパンデミックを経験した私たちは、平常時はあまり意識することのない「生」と「死」について考え、健康であることの有難さと人の人生が有限であるという事実を突きつけられました。この新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしや働き方をはじめとした社会生活、そして次代を担う子ども達の教育環境にまで、社会全般に大きな影響を及ぼしました。特に、世界恐慌の再来とまで言われた経済ダメージは、現在もその爪痕を色濃く残しています。近年の社会生活は大きく様変わりし、日常生活の中における生活の質を維持するためには、健康であることが重要だということに、私たちは改めて気が付いたのではないでしょうか。
 糸魚川市に目を向けると、糸魚川市のまちづくりを推進していくための最上位計画に、糸魚川市総合計画があります。この計画は、市民・地域・事業者等と行政が一体となって協働し、策定から計画を実現していくための施策を推進するための基本指針です。糸魚川市の少子高齢化による人口減少対策と、住み続けたくなるまちづくりを最重要課題と定め、持続可能なまちづくりのための重点項目の一つに『健康』が挙げられています。
 現在、糸魚川市民の平均寿命と健康寿命は、国・県の平均を上回っています。しかし、その一方で、40歳以降の高血圧や肥満をはじめとした生活習慣病の有病率と発生率は、性別を問わずに年々増え続けています。また、生活習慣病医療費の年代別割合が、30歳以降から増加しはじめ、40歳以降から急増していることを踏まえると、生活習慣病の治療を必要とする年代が、低年齢化してきていることがわかります。この大きな原因としては、私たち若い世代の健康づくりへの関心の低さ・運動不足や偏った食生活・ストレス問題等が考えられます。社会や地域では責任あるポジションを担い、家庭を持ち、子どもを産み育てている若い働き盛り世代は、自分自身の健康をつい後回しにしてしまいがちです。
 一方、国は、年齢にこだわらずにより長く働ける社会の実現に向けた環境整備・公的年金制度の安定した運営・自己資産の形成などの支援に対する施策を重点的に行っています。これは、急速に進む少子高齢化による人口減少社会に備え、国民一人ひとりに対し、社会構造の変化を踏まえたライフプランを立てることを求めていると考えます。医療の技術が進歩し、日本を含む先進国の平均寿命は格段に長くなりました。しかし、明るい豊かな社会の実現には、あらゆる世代が健康を維持し、生活の質を維持することが必要不可欠です。
 そこで本年度は、糸魚川の未来が明るい豊かな社会であるために、健康という視点からのまちづくり事業を展開してまいります。住み慣れたまちと恵まれた自然の中で、生涯にわたり、健康ではつらつと暮らすことを願い、自分の健康は自分で守り、自分でつくることを基本に、個人・家庭・地域が一体となって明るく健康で暮らせるまちを目指してまいります。
 特に、働き盛り世代であり子育て世代という当事者である私たちが、健康づくりに関心を持ち、健康づくりのための取り組みを重点的に行うことで、自身の未来の健康寿命の延伸ができ、子ども達にとっては幼少期から一貫した取り組みを展開することになります。このことは、ゆくゆくはあらゆる世代の健康づくりに大きな波及効果を与えることができると考えます。そして、これを実現することで、『現在と将来の自分自身の健康』と『次代の健康』の二つを得ることができます。将来的な自身の健康だけでなく、共に生活をする家族や会社・地域の人々の健康を守り、促進させ、持続可能な地域を創造してまいります。
 

【結びに】

 社会や生活が目まぐるしく移り変わる激動のこのような時代だからこそ、今を生きる私たちは、様々な困難を乗り越え、新たなことに挑戦し続けるために、明確なビジョンをもち、実践していくことが求められています。しかし、時として、多様な人財が集まる組織の中で、自らを枠の中に閉じ込めてしまったり、うわべだけを取り繕おうとしたりしてしまうことがあります。私たちは、この糸魚川JCで、青年経済人として、時代を牽引していくリーダーへと成長すべきであり、組織の一人という認識ではなく、自身の発言と行動が、世の中に変革をもたらす存在であるということを、メンバー一人ひとりが自覚し、率先して行動していかなければなりません。
 また、JC活動を行う中で、手段・手法を創意工夫することも大切ではありますが、私たちは何のために活動し、どこに向かって歩みを進めているのでしょうか。地域に認められ、必要とされる組織であり続けるために、住み暮らす地域に根差す組織として、私たち自身はどうありたいのでしょうか。そして、一人の青年経済人として、人と社会に対し、どうあるべきでしょうか。
 美しい花を咲かせ、次につながる実を結ぶには、土の準備から始まり、種を撒き、日々のお手入れが必要です。そして、ふいに訪れる逆境には、枯れない・腐らない・倒れないように、地中に深く強い根を張っていることが大切です。組織としても、一人ひとりの個人としても、改めて見つめ直し、成長する一年間にしていきましょう。
  私は、2019年に糸魚川JCに入会し、役職や出向という機会を通じ、様々な出会いがありました。もちろん、良いことや達成感ばかりではなく、失敗も後悔もたくさんあります。しかし、枯れそうになったとき・腐りそうになったとき・倒れそうになったとき、私には、支柱になってくれた方々の顔が思い浮かびます。
 本年度、第57代理事長を拝命するにあたり、この糸魚川JCで出会った方々への恩返しの気持ちを常に持ち、まちのため・人のため・糸魚川JCのために、誠心誠意努めてまいります。
 一年間どうぞよろしくお願いいたします。
 

<基本方針>

1 JAYCEEとしても青年経済人としても、明るい豊かな社会を常に想像し、持続可能な地域を創造できる人財への成長を図る。
2 明るい豊かな社会を目指す組織としての想いや理念を、メンバー一丸となって会員候補者へ伝播し、10名以上の会員拡大を行う。
3 想いの承継と伝播という、糸魚川JCにとって大きく大切な機会に、当事者意識を持った青年経済人としてのあるべき姿勢と接遇を学び、実践する。
4 糸魚川JCの公式ホームページやSNS等を活用し、JCの理念や活動内容・魅力を、効果的に対外へ発信する。
5 働き盛り世代であり子育て世代が、健康づくりに関心を持ち、健康づくりのための取り組みを行う機会を創出する。
 
 

 

 
2024年度 糸魚川JC組織図

 
2024年度 年間スケジュール